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NPT体制 成果巡り溝 準備委 議長提示勧告案を議論

 米ニューヨークで開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会は7日、サイード議長(マレーシア)が示した2020年再検討会議に向けた勧告案の議論を始めた。来年で発効50年を迎えるNPT体制の成果を巡り、核兵器保有国と非保有国の意見が割れた。(ニューヨーク発 明知隼二)

 この日は3日に示された勧告案の55項目のうち、前文にあたる3項目について各国代表が意見を述べた。保有国の米国やフランスは、NPT体制が核不拡散や軍縮、原子力の平和利用を後押ししてきたと説明。発効50年の節目に「歴史的成功」を強調すべきだと主張した。

 一方、ブラジルなどの新アジェンダ連合、メキシコなど多くの非保有国が、軍縮は十分に進んでいないと指摘。00年の再検討会議で全加盟国が合意した「核兵器廃絶への明確な約束」を含め、過去の合意に基づく軍縮義務の完全な履行を明記するよう求めた。

 平和利用に関する討議もあり、イランがNPT脱退に言及する場面もあった。イランは「NPTは全ての加盟国に、主権の行使としての脱退を認めている」とした上で、米国がイラン核合意を離脱したことなどを批判。「核軍縮の義務は守られず、平和利用の権利は妨げられている。非保有国が条約にとどまる利益は減っている」とし、加盟国の将来的な脱退を防ぐために「全ての条文の完全な履行」を求めた。

(2019年5月9日朝刊掲載)

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