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「前向きな雰囲気も」 広島知事 核保有国の提案を評価

 米ニューヨークで開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会について、広島県の湯崎英彦知事は9日、「全体としてはネガティブだが、いかに前向きな側面を見いだしていくかという雰囲気もある。動きを注視したい」と述べた。準備委員会に出席するなどした米国出張について報告する記者会見で語った。

 湯崎知事は準備委員会の前向きな面として、米国が「核軍縮のための環境づくり」で作業グループを立ち上げる意向を表明した点を挙げた。核兵器非保有国や非政府組織(NGO)から核軍縮の義務を履行しないための口実作りだと警戒する声が出ている点を踏まえつつ「評価はいろいろあると思うが、核兵器保有国から新たな提案があったことは貴重だ」と受け止めた。

 現地では国連のアントニオ・グテレス事務総長と会談し、2020年の広島訪問を要請した。「昨年は長崎を訪れている。核軍縮、核廃絶に強い思いを持っており、前向きに検討すると表明してもらった」と実現に期待した。

 ワシントンで開いた円卓会議では、イランや北朝鮮の動きが話題になったという。8日に核合意の履行を一部停止する方針を表明したイランについて、湯崎知事は「(米国の)報復に対する報復のような形だ。国際的に抑える議論をきちんと進めていかないと、さらにエスカレートしてしまう」と懸念を示した。(中川雅晴)

(2019年5月10日朝刊掲載)

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