×

ニュース

全会一致困難 浮き彫り NPT準備委 勧告案で各国が対立

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会は8日、議長が示した勧告案の議論を続けた。核兵器禁止条約への言及を巡って核兵器保有国と非保有国が対立。日本は食い違うそれぞれの主張を併記するよう提案し、条約推進国から反論された。全会一致の難しさが改めて浮き彫りになった。(ニューヨーク発 明知隼二)

 禁止条約に関する記述では「多くの加盟国がNPTを補うものとして支持した」との部分が焦点となった。非同盟諸国を代表して最初に発言したインドネシアは「早期に発効すれば核兵器廃絶に資する」として、NPT加盟国に署名と批准を促す文章も盛り込むよう求めた。ほかの非保有国からも賛同が相次いだ。

 保有国は反発。フランスは「NPT体制を分断する」として削除を求め、ロシアも「受け入れられない」とした。米国と英国は自国の立場や異論が反映されていないと反対。中国は直接の言及を避けた。

 日本は「各国が表明した懸念や、多様なアプローチの存在にも言及しては」と述べ、保有国の禁止条約への否定的な見方も盛り込むよう提案した。これに対してタイは「あえて否定的な記述は必要ない。反対だ」と直言。禁止条約の議論をけん引したオーストリアも「禁止条約はアプローチの一つではない。全てのアプローチに必要な法的規範だからこそ、立場の異なる国が集まり採択した」と指摘した。日本の外務省関係者は会議後、「日本の主張というより、全会一致の勧告を目指す観点での発言だ」とした。

 ほかに、多くの非保有国が、核兵器使用による「壊滅的な人道上の結果」への言及を強めるよう求めた。

(2019年5月10日朝刊掲載)

年別アーカイブ