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近現代の広島 間近に 移民や生活 資料展示

 広島市は、被爆建物の旧日本銀行広島支店(中区)で、収集してきた近現代の広島に関する資料の常設展示を始めた。明治時代から昭和初期にかけて海外へ渡った移民や、戦前、戦後の市民の暮らしを紹介している。

 地下1階の展示室や通路計約480平方メートルに、市民が提供した約420点を並べた。働き口を求めて米国やブラジル、ペルーに移住した市出身者が現地で使った農具や衣服、家具の実物を、当時の生活ぶりの説明文とともに展示。写真パネルでは、戦前に市内の川で遊ぶ市民や原爆投下直後の惨状、戦後の国体開催の様子などを取り上げている。

 資料は、市が1980年代に描いた博物館建設構想に基づき収集を始め、約19万7千点を数える。財政難などから98年に構想が凍結されて以降、有効活用が課題となっていた。開場は月、金、土、日曜の午前10時半~午後4時半で無料。

 11日に同支店であったオープニングセレモニーで、松井一実市長は「資料を間近で見て、歴史を身近に感じてほしい」とあいさつ。訪れた安芸区の会社員浜尾健さん(56)は「なかなか詳しく知る機会がない移民の歴史を学べて面白かった」と話していた。(秋吉正哉)

(2019年5月15日朝刊掲載)

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