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「核廃絶の流れ 逆行」 NPT準備委 被爆者、帰国報告

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会に合わせて開催地の米ニューヨークを訪れ、公式行事に出席した日本被団協の木戸季市事務局長(79)と浜住治郎事務局次長(73)の帰国報告会が15日、東京都内であった。首都圏の反核平和団体のメンバーたち約30人が参加した。

 2人は4月28日から10日間の日程で渡米。準備委の公式行事で被爆体験を証言し、核兵器禁止条約の締結を全ての国に求める署名を届けた。米国や英国を含む各国政府代表との懇談や、現地の学校などでの体験証言にも臨んだ。

 木戸さんは、各国が激しい言葉の応酬を繰り広げた準備委の議論が「核廃絶の流れに逆行していた」と指摘。「危機的状況だからこそ、知恵を出し合い、被爆者の訴えを世界に広めていきたい」と力を込めた。

 浜住さんは、広島の胎内被爆者として現地で証言を重ねた。「被爆者の声をもっともっと届けなければ、と感じた」と強調。「瞬時に大量虐殺し、世代を超えて人間を人間でなくす原爆の本当の姿を知らない人はたくさんいる」とし、来年の再検討会議に向けた活動の強化に意欲を示した。(田中美千子)

(2019年5月16日朝刊掲載)

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