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31万人鎮魂 新緑の風 原爆死没者名簿116冊

 広島市は15日、中区の平和記念公園で、原爆慰霊碑に納められた原爆死没者名簿116冊を外気に当て、湿気を取る「風通し」の作業をした。名簿は昨年より2冊増え、5393人の名前が加わった。

 原爆投下時刻の午前8時15分、市職員20人が黙とうをしてから作業を開始。石室から名簿を取り出し、碑前に広げた白い布の上に並べた。梅雨入り前の好天の下、1冊ずつページをめくって風に当てた。

 114冊には、昨年8月5日までに死亡が確認された広島の被爆者31万4118人の名前を記載。別の1冊には遺族が広島での奉納を希望した長崎の被爆者9人の名前を、もう1冊には「氏名不詳者多数」とだけ記している。

 作業を見守った中区の主婦山瀬妙子さん(71)は「30万という数字は知っていても、実際に名簿に記された名前の多さを見ると、改めて重みを感じます」と話していた。

 作業後は、広島の最新の1冊と長崎の1冊を除き、石室に戻した。昨年8月6日以降に亡くなるか、新たに死亡が確認された被爆者の名前を6月上旬から記帳し、8月6日の平和記念式典で納める。(明知隼二)

(2019年5月16日朝刊掲載)

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