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「米軍機」騒音 1.3倍4969回 広島18年度 国測定 艦載機移転で増

 広島県は17日、国が2018年度に県内6地点で測定した米軍機とみられる騒音の発生回数を明らかにした。「騒がしい街頭」に相当する70デシベル以上を4969回記録し、17年度と比べて1・3倍に増えた。県は「岩国市の米軍岩国基地で18年3月末、空母艦載機の移転が完了したことが大きく影響した」と分析している。

 米軍機の飛行実態をつかむために中国四国防衛局が県内に設置している騒音測定器全7基のうち、過去との比較ができる大竹市、廿日市市、江田島市、北広島町の計6基の記録を、県が集計。この日の県議会総務委員会で報告した。

 「70デシベル以上」の回数は比較可能な14~17年度は2963~3872回で、18年度が最多となった。6地点のうち増加は4地点。江田島市沖美が92・0%増、大竹市阿多田島と廿日市市宮島が各37・0%増、廿日市市八坂が28・2%増で、島での伸びが目立つ。減少した2地点は、北広島町西八幡原が4・2%減、大竹市西栄が18・9%減だった。

 県国際課は「空母艦載機の移転完了後に急増したのは明らかで、住民生活への悪影響がデータで裏付けられた」と説明する。今後は国に対して、騒音の基となる米軍機の低空飛行訓練の中止を米軍に働き掛けるようあらためて要請する。

 米軍機とみられる低空飛行の目撃件数は、18年度に1843件だった。17年度の1881件をわずかに下回ったが、調査を始めた1997年度以降で3番目に多かった。(樋口浩二)

米軍岩国基地への空母艦載機の移転
 在日米軍の再編に伴い、米海軍の空母ロナルド・レーガンに搭載する艦載機約60機が厚木基地から段階的に配備された。2017年8月に第1陣のE2D早期警戒機5機が移転して以降、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機部隊やEA18Gグラウラー電子戦機部隊などが移り、18年3月末に完了した。岩国基地の所属機は約120機に倍増し、極東最大級の航空基地となった。

(2019年5月18日朝刊掲載)

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