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歌会始入選の北川君が被爆地を再訪 「生」の尊さ あらためて実感

■記者 森田裕美

 部活動で立ち寄った被爆地の印象を歌にし、今年の「歌会始の儀」で最年少入選した福岡県久留米市の中学2年北川光君(14)が22日、家族と広島市を再訪した。前回訪れた際、偶然出会って話を聞いた胎内被爆者三登浩成さん(62)=府中町=の案内であらためて中区の平和記念公園を巡り、平和の尊さをかみしめた。

 北川君が地理研究部の活動で広島を訪れたのは昨年8月。部員十数人と駆け足で爆心地付近を見学していたとき、観光客に無料ガイドをしている三登さんから声を掛けられた。簡単な解説や胎内被爆者としての思いを聞いた。

 「生」をテーマに詠み、入選した歌は「熱線の人がたの影くつきりと生きてる僕の影だけ動く」。三登さんの話や被爆石などからイメージを膨らませた。

 北川君は父敬二さん(51)に広島での出会いを報告。部活でじっくり見学できなかったため家族4人での被爆地旅行を計画し、三登さんに案内役を頼んだ。

 三登さんは「石から人間の命に想像力を膨らませた若い感性がうれしい」と喜ぶ。北川君は「被害に遭った人に直接会い、原爆がよりリアルに感じられた。すぐに何かに生かすのは無理でも、しっかり心に残していきたい」と話していた。

(2009年3月23日朝刊掲載)

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