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戦時中ゲートル 母校の同窓会へ 旧制広島一中生が着用

 第2次世界大戦中、旧制広島一中(現国泰寺高)の生徒が通学や勤労動員の際に着用していたゲートル1対が24日、七十数年の歳月を経て母校の同窓会・鯉城同窓会に寄贈された。アニメ映画「この世界の片隅に」の製作に関わった同校の卒業生で俳優の栩野(とちの)幸知さん(66)が、作画資料とするためインターネットオークションで入手していた。

 ゲートルは幅8・5センチ、長さ248センチで羊毛混じりの木綿製らしく、国防色と呼ばれるカーキ色。左右1対あり、「広島一中三年十一組大石将司」と書いた布が縫い付けられている。栩野さんや同窓会が調べたところ、大石さんは1945年、海軍兵学校に入学。戦後も健在だったが、数年前に亡くなったという。

 映画で広島弁を指導し、憲兵役の声優も務めた栩野さんは、作画のため入手したゲートルが偶然、母校の先輩の所持品だった縁から同窓会への寄贈を決めた。

 同窓会の田丸健三副会長に手渡した栩野さんは「ゲートルの靴に触れる部分は擦り切れてボロボロになっており、非常に大切に使ったようだ。当時の生活を知っていただくきっかけになれば」と話す。ゲートルは今秋にも、校内の同窓会館で開催される通学風景をテーマにした企画展で展示される。(客員編集委員・冨沢佐一)

(2019年5月25日朝刊掲載)

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