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「北朝鮮への姿勢と矛盾」 広島の被爆者ら 怒りや懸念

 米核研究機関のローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州)は24日、プルトニウムを用い、核爆発を伴わない臨界前核実験を2月に西部ネバダ州の施設で実施したと発表した。トランプ政権下では2017年12月にも同様の実験が行われたことが確認されており25日、広島の被爆者や、核兵器廃絶を目指す団体メンバーは怒りや懸念の声を上げた。トランプ大統領の訪日に合わせ、日本政府が米国に抗議するべきだとの意見も出た。

 「北朝鮮に非核化を迫り、自らは実験を進めるのは矛盾しないか」。広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行(77)は憤る。核兵器のない世界を目指す署名運動に触れ「活動は道半ば。米国に意義が伝わらないのがもどかしい」と残念がった。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(74)も「核兵器をなくす考えがないということだ」と厳しく批判する。トランプ大統領の訪日を受け「被爆国として実験をやめるよう伝え、平和について話し合ってもらいたい」と注文した。

 「実験は核兵器の実質的な増強につながる重要な動きの一つだ」と指摘するのは、非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の川崎哲(あきら)国際運営委員(50)。米国は4~5月にあった核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会でも核軍縮に否定的な姿勢を見せた。

 「保有国の責任を棚上げし、自らは開発を進めようとする姿勢はNPT体制への信頼を傷つける」とし、来年の再検討会議への影響を懸念した。(新山創、明知隼二)

(2019年5月26日朝刊掲載)

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