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被爆地広島 抗議広がる 米臨界前核実験 平和監視時計 またリセット

 米国が爆発を伴わない臨界前核実験を2月に実施していたことを受け、被爆地広島では27日、トランプ政権に対し、座り込みや自治体による抗議などの動きが相次いだ。原爆資料館(広島市中区)は、「最後の核実験からの日数」を表示する地球平和監視時計をリセットした。

 広島県被団協(坪井直理事長)や連合広島など12団体でつくる核兵器廃絶広島平和連絡会議は、中区の原爆慰霊碑前で座り込みをした。「すべての核実験に強く抗議する」と記した横断幕を掲げ、78人が抗議をした。県被団協の箕牧(みまき)智之理事長代行(77)は「被爆者は核兵器廃絶を訴え続けているのに残念でならない。市民も怒ってほしい」と訴えた。県原水禁府中地区協議会も同日、府中市役所庁舎前で抗議の座り込みをし、市議や市職員たち14人が参加した。

 保有国による核実験が明らかになったのは、米国による2017年12月の臨界前核実験が、18年10月に判明して以来。原爆資料館の東館1階では、「530」だった平和監視時計の表示を、米国が新たに実験をしたことし2月13日から数えた「103」に変えた。滝川卓男館長は「これが最後になるように、被爆の実相をより広く正確に伝える努力をしたい」と話した。

 広島市の松井一実市長はトランプ米大統領宛ての抗議文で「廃絶を求める多くの人の願いに背く行為で断じて許せない」とし、核実験の中止を求めた。竹原、尾道、福山、府中、三次、庄原、東広島、廿日市、安芸高田市なども米大統領たちに抗議文を送った。日本原水協も「核軍拡競争を助長する」などと抗議する安井正和事務局長名の談話を発表した。(明知隼二、田中美千子、山崎雄一)

(2019年5月28日朝刊掲載)

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