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ドーム背に祈る姿 仏へ モノクロ肖像写真12点 庄原出身の宮角さん

 庄原市出身の写真家宮角(みやかく)孝雄さん(71)=東京都新宿区=の作品が6月18日~10月19日、フランス東部ストラスブール郊外の美術館で展示される。原爆ドーム(広島市中区)を背景にした被爆者や観光客たちの肖像写真で、被爆2世でもある宮角さんがライフワークとして撮り続けている。

 いずれもモノクロの縦1・6メートル、横1・2メートルの12点。目をじっと閉じて祈りをささげる男性や、娘に付き添われて穏やかな表情を浮かべる車いすの女性たちの姿を収めている。

 フランスは核兵器保有五大国の一つ。宮角さんは「核を持つ国の市民の反応を見てみたい」と6月中旬に現地を訪れる。会場で開かれる式典にも出席し、家族の被爆体験を語る予定でいる。

 宮角さんの祖父と父は広島駅で被爆し、義理の母も爆心地から約700メートルの路面電車内で閃光(せんこう)を浴びた。宮角さんは2000年からドームを訪れる人を撮り続け、10年に写真集を出版した。

 フランス在住のアーティストから声が掛かり、まず3月に、東日本大震災の被災地で撮影した写真をストラスブールの別の美術館で展示した。今回はそれに続く企画で、美術館の外壁にこのアーティストの作品とともに並べる。

 宮角さんは「核廃絶への願いを込めている。不条理な兵器が人びとに何をもたらしたのか、考えてもらう機会になればうれしい」と話している。(田中美千子)

(2019年5月28日朝刊掲載)

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