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地上イージス「萩適地」 防衛省、山口県に調査報告

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の陸上自衛隊むつみ演習場(萩市)への配備計画を巡り、防衛省の原田憲治副大臣が28日、山口県庁で村岡嗣政知事らと面会し「安全に配備・運用できる」との調査結果を報告した。「適地」との判断を示した国は配備に向け、近く住民説明会を始める予定だ。

 国は、昨年10月から候補地の萩市と秋田市の陸自演習場や周辺で適地かどうかを調査。弾道ミサイルを探知する際にレーダーが発する電磁波や地下水への影響などを調べた。山口県に先立ち、27日に秋田県へ同様の調査結果を伝えている。

 この日、原田副大臣らが山口県庁を訪れ、村岡知事、地元の藤道健二萩市長、花田憲彦阿武町長らと面会。原田副大臣が現地調査の結果をむつみ演習場の模型を示しながら報告した。

 電磁波についてはレーダーから半径230メートル離れた場所では「人体への影響はなく安全」と説明。配備に伴う地下水への影響もなく「演習場内に雨水を地下に浸透させる施設を整備する」とした。テロなどの攻撃目標になるとの地元の懸念を受け、約250人の配備部隊を置き「万全の警備態勢にする」と強調した。

 村岡知事は「不明点は改めて確認したい」と指摘。藤道市長は「住民の理解が進んだとはいえない」と述べ、計画撤回を求める花田町長も「有権者の半数以上が配備反対だ」と訴えた。

 面会後、県などは調査結果の検証を進める考えを示した。(和多正憲)

イージス・アショア
 海上自衛隊のイージス艦と同様のレーダーやミサイル発射装置で構成する地上配備型の弾道ミサイル迎撃システム。政府が2017年12月に国内2基の導入を閣議決定。防衛省は18年6月、陸上自衛隊むつみ演習場(萩市)と陸自新屋演習場(秋田市)を候補地と公表した。23年度の運用開始を目指しているが、最新レーダーの開発や試験でずれ込む見通しとなっている。

(2019年5月29日朝刊掲載)

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