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ヒロシマ復興 音楽の力 「学生連盟」たどる映画完成

 原爆投下の翌年、音楽の力で市民を元気にしようと、広島市内の旧制高校や専門学校の学生が結成した「広島学生音楽連盟」。その足跡をたどるドキュメンタリー映画が、広島の音楽関係者でつくる「ヒロシマと音楽」委員会の手で完成した。8月の原爆の日の前に、広島での一般公開を目指す。

 タイトルは「音の記憶・つながり」。同連盟の結成に関わった原田雅弘さん(85)と千葉佳子さん(84)の証言を軸に、映像作家の青原さとしさん(51)が撮影し、約1時間の作品に仕上げた。

 旧制の広島高等学校(現広島大)や広島女子専門学校(現県立広島大)など、少なくとも6校の学生たち約100人が参加し、4年間活動。映画では、わずかに残る写真やプログラムを頼りに、慈善コンサートや著名な音楽家のリサイタルを開いた地を巡る。

 原田さんと千葉さんが、今も残る旧制広島高校講堂(現広島大付属中・高講堂)で当時の歌を口ずさむ場面も。東日本大震災があった2年前、同連盟の思いを継ごうとコンサートに参加した高校生の声も収録した。

 映画を企画した能登原由美さん(42)は「音楽で復興に尽くすとともに、歌を通じた異性との交流に胸躍らせる若者の姿が浮かぶ。音楽や人とのつながりが、苦難を乗り越える力になると感じてもらえるはず」と話している。(松本大典)

(2013年3月18日朝刊掲載)

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