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「核廃絶の流れつくる」 広島平和文化センター新理事長小泉氏が意欲

 原爆資料館を運営する公益財団法人、広島平和文化センター(広島市中区)は14日、理事長の小溝泰義氏(71)の退任と、新理事長に元駐ブルガリア大使の小泉崇氏(68)の選任を決めた。小泉氏は市役所で会見し、若い世代に核軍縮への関心を広げるため「文化や芸術による広がりを生かし、核兵器廃絶の流れをつくりたい」と意欲を示した。

 理事長への外務省出身者の起用は、小溝氏に続いて2人目。同センターはこの日、評議員会と理事会を開き、小泉氏の豊富な経験や人柄を重視して、第10代理事長に決めた。7月16日に就任し、任期は2021年6月までの約2年となる。

 小泉氏は会見で外交官として冷戦下のブルガリア、内戦に苦しんだ東ティモールに駐在した経験に触れ、「平和の重要性をいや応なく感じてきた」と強調。初めて被爆地に居を構えて働くことについては「センターは核軍縮の拠点だ。経験を生かしてその一翼を担えるなら、私にとっても喜びだ」と力を込めた。

 一方で「仕事で核軍縮に直接関わったことはない。まずは私自身が勉強し、力を蓄えないと果たせない仕事だ」とも話した。

 7月15日に退任する小溝氏も会見に同席。核兵器廃絶へ世界の都市が連携する平和首長会議(会長・松井一実市長)の強化などに努めた約6年の任期を「国家間の相互不信を乗り越えるため、市民レベルで対話して共通点を見いだそうとしてきた」と振り返った。

 小泉氏は東京都出身で、東京教育大(現筑波大)を卒業。1976年に外務省に入省し、在東ティモール大使館参事官、地方連携推進室長などを歴任した。駐ブルガリア大使を最後に16年8月に退職した。(明知隼二)

(2019年6月17日朝刊掲載)

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