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官邸・規制庁とTV会議 島根原発事故対応 中電本社に対策室

 中国電力は18日、本社(広島市中区)の一室を原子力災害対策室とし、島根原子力発電所(松江市鹿島町)と首相官邸、原子力規制庁の計4カ所を結ぶテレビ会議システムを3月上旬に整備したことを明らかにした。原発で事故が起きた際、迅速に情報交換ができる態勢を整える。

 この日、原子力規制委員会に提出した防災業務計画の改訂版に盛り込んだ。対策室は本社3階の会議室(120平方メートル)に設定。電話とファクス、緊急時の原発データ伝送システムSPDSでも4カ所を結ぶ態勢を築く。整備費は非公表。福島第1原発事故で指令拠点となった東京電力の対策室を参考にした。

 原発敷地内の対策拠点は海抜50メートルの高台に2014年度、約75億円で完成させる免震重要棟(3階建て延べ5千平方メートル)など3カ所とした。従業員最大300人が事故対応に当たることができるという。

 改訂版は原発30キロ圏の島根、鳥取両県と松江市にも報告した。福島で後方支援拠点となったJヴィレッジをイメージした敷地外の支援施設3カ所は、1月の修正案から安来市の1カ所だけを変更。原発28キロの安来運動公園から原発約25キロの広瀬中央公園に改めた。

 福島の事故を受け、昨年9月に改正された原子力災害対策特別措置法に基づき、規制委から計画の改定を求められていた。(樋口浩二)

防災計画2県6市完了 島根原発30キロ圏 実効性に課題

 鳥取県は18日、中国電力島根原子力発電所の事故に備える地域防災計画を改定した。島根原発30キロ圏の2県6市で、福島第1原発事故を踏まえた防災計画の改定作業が全て完了した。

 しかし、計画に盛り込まれた広域の住民避難には、移動手段の調達などのハードルがある。避難を判断する基準を、どう住民に周知するかも難題。実効性の確保は「今後の課題」(島根県原子力安全対策課)として残った。

 島根県と県内4市が、原子力規制委員会が2012年10月に示した原子力災害対策指針に基づき改定したのに対し、鳥取県と県内2市は2月27日の指針改訂版を反映させた。

 ただ、内部被曝(ひばく)を予防する安定ヨウ素剤を例にとっても、鳥取県は配備すらまだの状態。正しい服用法など「住民への周知はこれからの検討」(鳥取県医療指導課)と、クリアすべき対策は多い。

 2月27日の改訂版で示された放射線量に応じた避難基準についても鳥取県が住民への伝達方法を盛り込んだが、避難対象の住民に行き渡るかどうかは疑問。島根県も含め、13年度に追加で修正するという。「国のビジョンがみえない」(島根県の大国羊一危機管理監)とずれ込んだ規制委の改定作業への不満もくすぶる。

 島根原発30キロ圏には約46万9千人が住み、社会福祉施設の入居者たち災害弱者は計約3万5千人に上る。両県は避難の責任を明示したが、詳細な避難先は未定となっている。(樋口浩二、川崎崇史)

(2013年3月19日朝刊掲載)

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