×

ニュース

広島市 資料館の被爆者人形撤去方針 展示継続求める声次々 

 広島市が原爆資料館(中区)に展示している、やけどを負った被爆者の姿を再現したプラスチック製人形を撤去する方針を示したのに対し、市と資料館には18日までの4日間で、撤去に反対する電話やメールが計132件届いた。賛成の意見はないという。展示見直しを議論してきた有識者会議は19日、人形の取り扱いを含め展示の詳細な内容を決める。(岡田浩平)

 市は14日の市議会予算特別委員会で撤去方針を表明。翌15日から反対意見が届いている。「小学生の時に見て一番印象に残った」「視覚的に最も強く伝わる」などと、いずれも継続展示を求めた。

 これとは別に中国新聞社に寄せられた5件の電話も「被爆者がなぜ、あんな姿になったか学ぶためにも人形は必要だ」など、全て撤去反対の意見だった。

 資料館の有識者の検討会議メンバーでもある県被団協の坪井直理事長(87)は「子どもたちに被害を印象づけているのは確かだ」とし、反対意見に理解を示す。もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(72)も「資料として残す必要があるのではないか」と話す。

 撤去反対の声に市平和推進課は「方針撤回の考えはない」とし、資料館学芸課も「原爆の非人道性や破壊力など実態をより強く伝える展示内容にすることで今回届いた意見に応えたい」としている。

原爆資料館展示見直し計画
 資料館の耐震改修に合わせ、08年4月から市の有識者検討委員会が基本計画の議論を開始。09年12月に素案を固めて市民意見を募り、10年7月に決定した。委員を一部入れ替えた検討会議が10年8月から詳しい展示内容を詰めていた。13~15年度に東館、16~17年度に本館の工事をし、18年度に全面再オープンする。

(2013年3月19日朝刊掲載)

年別アーカイブ