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原爆ドームのれんがと「確信」 香川の製造元を嘉陽さんが訪問

 原爆ドーム(広島市中区)のれんがを調べている広島大大学院生の嘉陽礼文(かよう・れぶん)さん(34)=西区=が18日、製造元の一つとみられる香川県観音寺市の讃岐煉瓦(れんが)(川崎隆三郎社長)を訪ねた。

 嘉陽さんは、ドーム敷地内のれんがの一部と近くの元安川で収集したれんがの刻印を頼りに、いずれも同社製品と突き止めた。18日は、同社でれんが製造の責任者だった三好則夫さん(66)と対面。持参したれんがを見た三好さんは「うちの製品だ」と断言した。

 三好さんによると、松葉を組み合わせたひし形の刻印は1897(明治30)年の創業時から使用。れんがを手作りしていた頃、作り手が識別できるよう、ひし形の内部に文字を刻んだという。

 大正期には月40万~50万個を全国各地に出荷。広島にも一時、営業所があった。ただ、1915(大正4)年に完成した原爆ドームの前身、県物産陳列館の建築に製品を納めたことを証明する資料は現存していない。

 三好さんは「ドームに使われたなら会社の名誉」と喜び、嘉陽さんも「新たな情報が得られた。もう間違いない」と話した。れんがは近く、広島大(東広島市)で公開する予定だ。(田中美千子)

(2013年3月19日朝刊掲載)

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