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被爆の実相 実物で迫る 原爆資料館 改修後の展示内容 

 広島市が大幅改修を計画する原爆資料館(中区)の展示見直しに助言する有識者検討会議(今中亘委員長、11人)が19日、改修後の新たな展示内容をまとめた。遺品など実物資料を軸に、原爆被害の恐ろしさを前面に訴える。原爆投下直後の被爆者の姿を再現したプラスチック製人形は本館から撤去することをあらためて確認した。(田中美千子)

 展示の実施設計を取りまとめた。本館のテーマは「被爆の実相」。焼け焦げた衣服やケロイド標本など90点を集合展示し、遺品50点に遺影や被爆状況の説明文を添えたコーナーを新設するなど、計約200点の実物資料を効果的に配置する。

 被爆者の人形をめぐっては、市民から存続を求める声が市へ相次ぎ寄せられていた。委員から「怖がられるから撤去するわけではない」「より実相に迫るため実物展示にこだわりたい」などの意見が続き、市の撤去方針に異論はなかった。

 東館では、情報端末やパネル展示などを通して、核兵器の危険性や廃絶に向けた取り組み、広島の復興までの歴史などを学ぶ。視覚障害者向けに、原爆ドームや広島に投下された原爆「リトルボーイ」の小型模型に触れることができるコーナーを新たに設ける。

 1955年に開館した本館の耐震補強を含み、最大規模の改修となる。2013年度、東館の基礎工事に着手する。14~15年度は東館、16~17年度は本館をそれぞれ閉館して本格工事。東館の1階から3階へ直通エスカレーターを新設し、見学ルートも一新する。

(2013年3月20日朝刊掲載)

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