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あの日の記憶描き奨励賞 基町高生 ヒロシマテーマにアニメ

 基町高(広島市中区)創造表現コースの生徒が制作したヒロシマをテーマにしたアニメーションが、「地域発」の優れたデジタルコンテンツとして総務省に評価され、総務大臣奨励賞を受賞した。作品を通じて平和の願いを発信できた―。携わった10人の生徒は確かな手応えを感じている。

 受賞作は「少女の祈り」(約6分)。原爆に遭った少女が、老境に立つ今も苦しみを抱えて生きる姿を描く。被爆者の詩人上田由美子さん(81)=安佐北区=の詩集「八月の夕凪」に収められた詩「奇跡の友」を題材にした。

 昨年5~7月に制作。被爆当時と現代の情景を重ねながら、ふとした瞬間によみがえるあの日の記憶を描いた。大地が焼ける音とセミの声、被爆直後の赤い空と穏やかな夕焼け…。音や背景の色彩でも当時と今を対比させ、平和の尊さを浮かび上がらせる。2年西山友葉さん(16)は「原爆の惨禍を伝え続ける大切さを表現した」と振り返る。

 作品は中国総合通信局が推薦。全国から集まった25作の中から受賞が決まった。3年斉藤遼さん(18)は「受賞を機に多くの人に見てもらいたい」と話す。

 生徒は今年の8月6日に向け新たな作品づくりに取り組む。モチーフは、故中沢啓治さんが生前に残した未発表詩にメロディーを付けた「広島 愛の川」。同日、広島国際会議場(中区)である、青少年が平和を考える集いでの披露を目指す。(石井雄一)

(2019年6月29日朝刊掲載)

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