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ヒロシマエバヤマザクラ 被爆桜クローン高校生が成功 あす学会で成果発表

 広島市南区の広島大付属高の生徒が、中区の江波山に自生する被爆樹木のヒロシマエバヤマザクラのクローン培養に成功した。細胞レベルで同じものを複製する技術。生徒は、岡山市北区で開会中の日本植物生理学会で23日、研究成果を発表する。(有岡英俊)

 エバヤマザクラは、樹齢約160年とされ、高さ約15メートル。通常のヤマザクラの花びらが5枚なのに対し、5~13枚ある。1996年に市天然記念物に指定された。

 文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールに指定されている同校は、培養に必要な無菌装置などを備える。2007年4月、老齢化するエバヤマザクラを後世に伝えたいと、当時の2年生3人が組織培養を始めた。しかし、培養液がなじまなかったり、滅菌に失敗したりして、うまく育たなかった。

 11年秋、今の3年生6人が、独自の技術を持つ住友林業(東京)に協力を依頼。同社の研究員から培養技術を学び、専用の培養器などがある同社の研究所(茨城県つくば市)の設備も借りた。

 エバヤマザクラの冬芽の一部を摘み取って、複数の培養液で繰り返し増殖を試みてきた。12年1月から試してきた2種類の糖が増殖を促すことが分かった。今回、培養した苗木は30本で、現在、高さ約20センチまで育った。

 3年末広晴美さん(18)は「失敗の連続で、培養液を特定するのに苦労した。原爆に耐えた樹木を広く知ってもらうきっかけになればうれしい」と話している。

 苗木は現在、同社の研究所で保管されている。来年春にも同校に植樹する。

(2013年3月22日朝刊掲載)

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