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学生に伝える胎内被爆 坂の文化学園大で二川さん

 原爆胎内被爆者全国連絡会(広島市中区、70人)の二川一彦代表世話人(73)=東区=が11日、坂町の広島文化学園大坂キャンパスで、社会福祉士などを目指す学生15人に被爆体験や戦後の生活を語った。

 あの日、二川さんを身ごもっていた母は、現在の平和記念公園(中区)にあった材木町郵便局の局長だった父と雑魚場町(現中区)へ建物疎開に動員された姉を捜すため、市中心部に入り被爆。2人の遺骨が見つからない中、5人の子どもを育てた。「87歳で亡くなるまで被爆の話は一切しなかった」と二川さん。「女手一つで育ててくれた」と感謝も語った。

 二川さんが成人後に自ら被爆者健康手帳を取得したことも紹介。「被爆者への差別や偏見に遭わないための母の愛情だったと今は感じる」と振り返った。

 担当教授が二川さんの被爆体験を聞いたのを機に、講師として招いた。スポーツ健康福祉学科1年山本晃生さん(18)は「被爆体験を直接聞けるのも私たちが最後の世代。次世代にどう伝えていくか責任を感じた」と話した。(山下美波)

(2019年7月12日朝刊掲載)

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