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45年死亡8万8978人 被爆者調査 広島市、第7期確認

 広島市が近く公表する第7期被爆者動態調査で、米国が広島に原爆を投下した1945年8月6日から同年末までに死亡したことが確認された被爆者数は8万8978人であることが25日、分かった。前回の第6期調査(95~98年度)で重複していた人を除いた結果、961人減った。

 99年度から進める第7期調査で、原爆投下当日に亡くなったのは5万3644人と確認。前回より174人多い。翌7日~12月31日の死亡者数は3万5334人で、前回より1135人減った。

 市が79年度に着手した動態調査は広島で被爆した一人一人を確定する作業で、国や県、市などが調べたデータを統合して進めた。広島大原爆放射線医科学研究所(原医研、広島市南区)が3年前から協力。前回の結果をコンピューターで詳細に調べ、同一人物とみられる重複分を整理した。

 広島原爆による45年末までの死没者を広島市は76年以降、「14万人プラスマイナス1万人」としている。これは当時の広島、長崎市の専門家会議が国勢調査に当たったり、広島に駐屯していた軍関係の資料を調べたりして導き出した数字だ。

 一方、動態調査では調査のたびに増減し、最も多かった第4期調査(88~90年度)で9万1164人。「14万人プラスマイナス1万人」を大きく下回る。

 調査に携わった原医研の大谷敬子助教(データ解析)は「書類がある人は網羅できたが記録のない人も多い」と、一家全滅の事例、被爆後に広島を離れた外国人や軍人が多数漏れている可能性を指摘。「今後、新たな資料が出てくるとは考えにくい。確認可能な人数はこれ以上増えないのではないか」とみている。(田中美千子)

<広島市の被爆者動態調査の推移>

時期 (年度)          1945年末までに死亡が確認された被爆者(人)
第1期(1979~  81)   78,349
第2期(  82~  84)   85,735
第3期(  85~  87)   77,576
第4期(  88~  90)   91,164
第5期(  91~  94)   88,850
第6期(  95~  98)   89,939
第7期(  99~2012)   88,978

(2013年3月26日朝刊掲載)

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