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チョコレート色の雲 空覆った 追悼祈念館 被爆体験代筆へ聞き取り

 高齢になった被爆者の被爆体験記を代筆する事業を進めている国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は23日、本年度の聞き取りを始めた。当時、青崎国民学校(現青崎小、南区)4年だった栗田信彦さん(83)=西区=から被爆時の様子などを聞いた。

 栗田さんは仁保町小磯(現南区)にあった東洋工業の社宅で被爆。「チョコレート色の雲がどんどん大きくなって空を覆った」と振り返った。学徒動員先で大やけどをした同じ社宅の女の子を運んだことや、翌7日に父の友人を捜しに市中心部へ行ったことなどを職員たち4人に伝えた。

 国民学校の校庭では遺体が焼かれ、戦後に大量の遺骨が出てきたという。栗田さんは中学卒業後、鉄工所で働いて家族を養った。証言した理由を「被爆体験やその後の人生について、元気なうちに話しておきたかった」と話した。

 祈念館の代筆事業は2006年度に始まり、これまで143人から聞き取った。本年度は栗田さんたち12人を予定し、来年3月末までに体験記にまとめて公開する。(山下美波)

(2019年7月24日朝刊掲載)

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