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安全基準案 疑問上がる 島根県が原発対策協議会

 島根県は26日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の安全対策を議論する原子力発電所周辺環境安全対策協議会を松江市で開いた。原子力規制庁の担当者に出席を求め、原発の新たな安全基準の骨子案について説明を受けた。委員からは基準の実効性に疑問の声が上がった。

 規制庁の担当者が、原発稼働の前提条件として7月に示す安全基準の案を、委員27人と一般の傍聴者たち計92人に説明。事故時に原発敷地内の指令拠点となる免震重要棟や津波に備える防波壁の設置を終えない限り稼働はできないとした。

 委員は「地震への対策が不十分」「福島第1原発事故の原因がまだ不明」と相次ぎ基準案への不満を訴えた。逆に「安全に絶対はない。稼働には妥協が必要」との声もあった。溝口善兵衛知事は「引き続き安全に万全を期すよう国と中電に求める」と述べた。

 県はこの日、大学教授たち16人でつくる原子力安全顧問会議も同市で開き、顧問10人が出席した。放射性物質を除き蒸気を放出するベント設備について、規制庁の担当者が島根原発など福島第1と同じ沸騰水型の原発では「稼働に必須」と説明。これに対し顧問の一人は「ベントは最終手段で、事前の予防策の方が重要。設置を急ぐものではない」と指摘した。(樋口浩二)

(2013年3月27日朝刊掲載)

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