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ヒロシマの惨禍 継承へ 奪われた暮らし 冊子に収録 旧中島地区元住民たち証言

 広島市の市民団体「ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会」が、米国の原爆投下で壊滅した旧中島地区(現中区の平和記念公園一帯)の元住民への聞き取りなどを収めた冊子「証言 そこに子どもたちの遊んだ町があった」を刊行した。歌手吉川晃司さんの父で、旧中島本町に生家の旅館があった吉川正俊さん(83)=府中町=たちの暮らしを伝える。

 同地区や周辺の元住民たち10人の手記や聞き書きを収録した。吉川さんは、幼少期の遊びや川辺での営みを証言。「石炭箱の上でぱっちんをやりよった。それとラムネ(ビー玉)です」「シジミがよけい捕れました」などと思い出を記す。

 市の原爆資料館本館敷地での発掘調査の際、貿易商を営んでいた生家跡が見つかった今中圭介さん(83)=安佐南区=の生家や近くの無得幼稚園に通った思い出も記録。今中さんが所有していた家族の白黒写真などを広島女学院高(中区)の生徒と東京大の研究者が共同でカラー化した画像も載せている。

 実行委は、2003年から旧中島地区の元住民たちから被爆前の街と暮らしなどについて聴く会を開催している。証言集の刊行は9冊目。A5判、218ページで1600円(送料別)。実行委☎082(255)1923。(水川恭輔)

(2019年7月30日朝刊掲載)

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