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世界の若者核廃絶探る 広島県・ICAN講座

 世界各国の若者が被爆の実態を知り核兵器廃絶に向けた道筋を探る講座「核兵器と安全保障を学ぶ広島―ICAN(アイキャン)アカデミー」が31日、広島市中区で始まった。広島県と、2017年にノーベル平和賞を受けた非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が共同でプログラムを作った。8日まで。

 9日間の講座を、11カ国の10~20代の学生や社会人計15人が受ける。県とICANが、公募に応じた85人の中から選んだ。核兵器を巡るスタンスが各国で割れる現状を踏まえて、米国やフランスなど保有国から8人、日本のほか韓国やドイツなど非保有国から7人とした。

 初日は県民文化センターで開会行事があった。ICANの川崎哲(あきら)国際運営委員が、核兵器の非人道性など講座で重視するテーマを説明。「専門家のさまざまな考え方に触れ、参加者間で核廃絶の可能性を大いに議論してほしい」と求めた。

 原爆ドームと原爆資料館の見学もあった。資料館では焦土と化した被爆後の市中心部の写真や、放射線の人体への影響を示すパネルなどに見入った。

 ドイツの大学生ヤヌス・カペルマンさん(23)は「積み重なった白骨死体の写真で、被爆の恐ろしさを感じた。核兵器のない世界をどう実現できるのか、参加者と考えたい」と話した。

 参加者は8日まで市内に滞在する。6日の平和記念式典に出席するほか、8カ国の大使たちや安全保障の専門家の講義、被爆者の体験談を聞く。最終日にはそれぞれ成果を発表する。(樋口浩二)

(2019年8月1日朝刊掲載)

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