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被爆の惨状 故郷で伝える 丸木位里・俊夫妻の「原爆の図」 複製画の2点 紙芝居も上演

 広島市安佐北区安佐町飯室出身の画家丸木位里と、俊(とし)夫妻の合作「原爆の図」の複製画2点の展示が31日、地元の旧JR可部線安芸飯室駅にある駅舎カフェRomui(ろむい)で始まった。6日までの期間中に紙芝居の上演もあり、平和や戦争について考える機会を提供する。入場無料。(山田英和)

 74年目の広島原爆の日を迎えるのに合わせ、地元の宇津自治会が企画した。初開催した昨年同様に市の補助金を活用し、作品を常設展示する原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市)から貸し出しを受けた。

 「原爆の図」全15部作のうち、原寸大の布製の「幽霊」(縦1・8メートル、横7・2メートル)と、2分の1パネルの「少年少女」(縦0・9メートル、横3・6メートル)の複製画2点を店内の壁に掲げている。原爆投下後の広島に入った夫妻が、被爆の惨状を生々しく表現している。

 期間中の毎日午前10時半と午後1時半、米国出身の詩人アーサー・ビナードさんが「原爆の図」を題材に作った紙芝居「ちっちゃい こえ」を上演する。安佐南区の紙芝居師栗原裕子さん(66)が広島弁で語る。栗原さんは「惨状を知れば戦争を推進したり肯定したりできないと思う。できることで伝える活動を続けていきたい」と力を込める。

 共催するRomuiの免田洋子代表(59)は祖母を原爆で亡くし、母も被爆した。「飯室で生まれ育った位里の存在を多くの人に知ってもらい、原爆や戦争の惨禍を伝えることが地元の私たちの責任であり義務だと思う。一瞬で大勢の人の命を奪った原爆について、作品を見てイメージしてほしい」と話している。

 展示は午前9時~午後3時。駅舎カフェRomui☎090(4579)8663。

(2019年8月1日朝刊掲載)

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