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『光に向かって這(は)っていけ 核なき世界を追い求めて』 サーローさん自伝刊行 反核運動の歩み紹介

 カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(87)の自伝「光に向かって這(は)っていけ 核なき世界を追い求めて」(写真・岩波書店)が刊行された。2017年に非政府組織(NGO)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))を代表してノーベル平和賞授賞式で演説するに至る反核運動の歩みをつづる。

 サーローさんは13歳だった74年前の8月6日、爆心地から約1・8キロの第二総軍司令部(現広島市東区)で被爆し、姉や級友を失った。書名は、倒壊した建物の下敷きになった際、早く逃げ出すよう見知らぬ軍人から掛けられた言葉という。

 65年前に米国へ渡って以来、北米を拠点に一貫して核兵器なき世界を訴えてきた。その苦労や、被爆者にとっての新たな「光」といえる核兵器禁止条約の実現に託した思いを明かす。米国に原爆使用の犯罪性を問い続ける姿には、最たる被害者である「声なき犠牲者」の代弁者たらんとする決意がにじむ。

 中国新聞ヒロシマ平和メディアセンターの金崎由美記者との共著。昨年夏の本紙連載「生きて」を大幅加筆した。1944円。

(2019年8月1日朝刊掲載)

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