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岸田氏「深刻な事態」 INF廃棄条約失効 核軍縮後退憂う

 米国とロシアの中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効を受け、被爆地選出の岸田文雄自民党政調会長(広島1区)は2日、「核軍縮と不拡散を進める上で深刻な事態だ」との認識を示した。党本部で記者団の取材に応じた。

 前外相の岸田氏は、イランや北朝鮮の核拡散が懸念される情勢を踏まえ「核拡散防止条約(NPT)体制での核保有国の核軍縮努力が後退するのでは」と憂慮。「中国を含む核保有国が重要性を認識し、行動で示してほしい」と求めた。

 NPTが来年、発効50周年の節目を迎え、5年に1度の運用検討会議が開かれることも指摘。「核兵器のない世界という理想のため、唯一の戦争被爆国として日本政府は努力しなければならない」と訴えた。

 一方、ロシアが条約に違反しているとして破棄を通告した米国に理解を示したのは菅義偉官房長官。2日の会見で「終了せざるを得なくなる状況は望ましくないが、米国の問題意識は理解している」と述べた。

 INF廃棄条約に縛られない中国の核軍備増強などを念頭に「米ロ以外の国々がミサイルを開発、実戦配備している状況を認識する必要がある」と説明。「東アジアの軍備管理のあり方を議論するのが重要。米国と緊密に連携し、関係国に働き掛けたい」と述べた。(下久保聖司、桑原正敏)

(2019年8月3日朝刊掲載)

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