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被爆者団体2世ら継承 坂 昨春に解散決定 2年ぶり慰霊祭復活

 広島県坂町の被爆2世たちが、昨春に解散を決めた被爆者でつくる「坂町原爆被害者の会」を継承し、新たな被爆者団体を発足させる準備を進めている。その有志が6日、同町の原爆犠牲者追悼碑前で同会が毎年開いてきた慰霊祭を、2年ぶりに復活させる。昨年は解散や西日本豪雨の影響で中止しており、被爆の歴史を風化させてはならないと誓う。(山下美波)

 団体名は「坂町原爆被害者友の会」。同町に住む広島市被爆二世の会の池田節男副会長(70)たちが、ことし1月に賛同者を呼び掛け始め、現時点で被爆者や被爆2世たち41人が集まった。6月には広島平和会館(中区)の被爆者相談員たちを呼び、被爆者向けに介護サービスなどを伝える相談会を初めて開いた。

 池田さんは幼い頃、爆心地から約1・5キロの広島貯金局(現広島市中区)で勤務中に被爆した母の体験を聞いて育つ。被害者の会が昨年5月の総会で解散を決めた後、「被爆者に比べて若い自分が行動を起こさないと」と思いを継ぐ組織づくりを決意した。県被団協の坪井直理事長(94)から「坂町から団体がなくなるのは寂しい」と声を掛けられたことも背中を押した。

 7月下旬、池田さんたち3人は慰霊祭に備えて、北新地運動公園にある追悼碑を清掃した。会社員古本宗明さん(62)は「被爆2世が熱意を持って慰霊祭を続けないと、被爆の歴史が風化する」と汗を拭った。

 友の会は今後、同町に被爆者団体の申請を出す。池田さんは「戦争や原爆の悲劇を繰り返さないよう平和を訴えていく」と話す。

 被害者の会は1956年に発足したが、会員の高齢化で役員の担い手がおらず、継続が難しくなった。被爆50年の95年に追悼碑を建て、毎年8月6日に慰霊祭を開いてきた。

(2019年8月3日朝刊掲載)

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