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アートから平和訴える 広島で美術展

 プロもアマチュアも関係なく、芸術を通して平和や核廃絶への思いを発信する「広島平和美術展」が、広島市中区の県民文化センターで開かれている。広島平和美術協会が主催し、1955年から無審査のアンデパンダン方式で続けられる同展は、65回目を迎えた。

 絵画を中心に、生け花、書、工芸など233点が並ぶ。うち13点は海外のフランス、ルクセンブルク、韓国からの絵画や書の作品だ。政府間の関係が悪化しても、市民同士の文化交流で平和を築けるとの強い意志が伝わる。

 絵画では、被爆の記憶を半抽象で表現した作品が目を引く。竹広国敬さん(広島市)の「光景(祈平和)」は、黒を基調にした画面に横たわる人。被爆者でもある大前博士さん(同)の「私は見た’45,8・6 8時15分」は、鋭い眼光が原爆による悲惨を告発しているようだ。

 穏やかな風景画や抽象表現で平和のイメージを発する作品も。松井一実広島市長も静物画を出品している。

 社会への問題意識を反映したポスターや書、花々の自然の美から命の尊さを実感させる生け花など多様な表現が、来場者を楽しませている。300円。中学生以下と被爆者は無料。5日まで。(森田裕美)

(2019年8月3日朝刊掲載)

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