被爆証言 賀茂高生が朗読 4日東広島でピースコンサート
19年8月5日
先輩記録6編 「反戦の思い代弁」
東広島市の賀茂高演劇部と放送部の生徒3人が4日、同市の八本松地域センターであるピースコンサートに出演し、被爆証言を朗読する。1985年に同校生徒が被爆者を訪ねて録音した証言から6編を読む。昭和から令和へと時代を超えて「反戦の思いを代弁する」と誓う。(鈴中直美)
2年江口まことさん(17)と、いずれも1年の竹上雨里(うさと)さん(15)、小玉若葉さん(16)の3人。「水を与えるとすーっと息を引き取られた」「話しても分からないだろうが、苦渋と難儀をした」…。言葉をかみしめながら読み上げる。
被爆証言は85年の夏休み、同校の社会科教諭だった斎尾和望さん(73)=三原市=と生徒18人が、市内の被爆者たち44人を訪ね、体験談をカセットテープに録音した。その声を基に、東広島市原爆被爆資料保存推進協議会が「ヒロシマの原爆証言~賀茂台地の声」をまとめた。
市民オーケストラの指導者で証言集の存在を知っていた有谿(ありたに)英彰さん(64)=同市西条西本町=がコンサートでの朗読を同校に提案。被爆直後の広島で夫を捜し回った女性や、救護に当たった看護師たち6人の証言をチェロやバイオリンの音色に合わせて朗読する。
斎尾さんは「被爆者の思いをないがしろにする改憲の動きもある。教科書だけでは戦争の実態はつかめない」と、語り継ぐことを喜ぶ。江口さんは「先輩が残してくれた貴重な証言。思いを受け止め、つないでいきたい」と話している。
ピースコンサートは東広島青少年オーケストラ運営委員会が主管する。午後2時から。無料。
(2019年8月3日朝刊掲載)