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八丁堀 全てが焼けた 被爆後の写真 米で発見 資料館に寄贈

 広島市中心部の被爆建物福屋八丁堀本店(中区)周辺の原爆投下後の焼け跡などを捉えた写真9枚が米国で見つかり、原爆資料館(同)に寄贈された。現在、紙屋町と併せて再開発の機運が高まる八丁堀地区付近の被害を伝えている。来年の新着資料展で展示する。(水川恭輔)

 撮影したのは米国の軍医として呉市内の病院で活動した故アール・グロットフェルティさん。活動した1945年秋から46年2月までの撮影とみられる。

 1枚は爆心地から約710メートルの被爆建物が残る当時の福屋百貨店新館から、道を挟んで北にあった同旧館方面を望むカット。旧館は被爆当時、東消防署が入っており、職員が犠牲になった。現在より西に軌道があった路面電車の白島線沿いが焼け落ちた様子も分かる。

 近くから東を望んだ別のカットは被爆当時の移転前の中国新聞社本社、広島流川教会などの損壊に加え、焼け焦げた路面電車の残骸が、市民の暮らしの被害を伝える。ほかに福屋旧館のアップや幟町国民学校(現幟町小)周辺の焼け跡を写したカットもあった。

 写真は、米国ピッツバーグに住むグロットフェルティさんの遺族が保管。安佐北区出身で現地の大学で学んでいる長谷川みどりさん(54)が遺族と知り合い、「広島で役立ててほしい」と写真を託された。帰郷中に原爆資料館に届けた。

 資料館学芸課は「福屋百貨店から白島線を望むカットなど、これまで未確認の珍しい構図も含まれる。市中心部の被害状況の把握に役立つ」としている。

(2019年8月5日朝刊掲載)

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