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令和に誓う 核なき世界 広島きょう原爆の日

 被爆地広島は6日、米国による原爆投下から74年の「原爆の日」を迎えた。核兵器を巡る国際情勢が厳しさを増す中、広島市は午前8時から、平和記念公園(中区)で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営む。犠牲者を悼み、記憶の継承と核兵器のない世界の実現を誓う。

 令和最初となる式典には、安倍晋三首相をはじめ核兵器保有の6カ国を含む海外92カ国と欧州連合(EU)の代表、都道府県の遺族代表36人が出席を予定する。松井一実市長と遺族代表2人が、この一年に死亡が確認され、新たに5068人の名前を記した原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に納める。名簿は117冊、計31万9186人になる。

 原爆投下時刻の午前8時15分には、遺族代表の面出明子さん(49)=西区、こども代表の可部南小6年正門和虎(あいと)君(12)=安佐北区=が「平和の鐘」を突き、全員で黙とうする。

 松井市長は平和宣言で、冷戦後の核軍縮の支柱となった米国とロシアの中距離核戦力(INF)廃棄条約が2日に失効したことなどを念頭に、緊迫する世界情勢の中、「核兵器廃絶への動きが停滞している」と指摘。政治指導者に対し、市民社会が目指す理想に向けて共に前進するよう訴える。2017年に国連で採択された核兵器禁止条約に背を向ける日本政府には、「被爆者の思い」として署名・批准を求める。

 「平和への誓い」は、落合小6年金田秋佳(しゅうか)さん(11)=安佐北区、矢野小6年石橋忠大(ただひろ)君(11)=安芸区=が発表する。

 厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ被爆者は3月末時点で14万5844人となり、初めて15万人を下回った。平均年齢は82・65歳。(野田華奈子)

(2019年8月6日朝刊掲載)

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