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国際環境が悪化 今こそ核軍縮を 国連事務次長 広島市長と面会

 原爆の日を前に、平和記念式典に参列する国連の中満泉・軍縮担当上級代表(事務次長)が5日、広島市役所を訪れ、松井一実市長と面会した。米国とロシアの中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効を受け「国際環境が悪化しているからこそ、安全のための核軍縮が必要だ」と述べた。

 中満氏は、同条約の失効直前まで、国連から両国に対話を働き掛けていたと説明した。「核兵器を巡る情勢は難しくなっている」と厳しい現状認識を示す一方、「本当の意味での安全保障のためには廃絶が必要だ。これは被爆者が訴えてきたメッセージでもある」と強調。「国際機関に何ができるのかを改めて考えたい」として、引き続き被爆地からの発信に期待した。

 来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議については「予断を許さないが、締約国は失敗させてはいけないとの考えは共有している」とみる。若い世代による討議の場を設けることも検討しているとした。

 この日は、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会のラッシーナ・ゼルボ事務局長も訪問。「悲劇を二度と起こさないために、世界の若者が広島に学びに来ていることは希望だ。私たちは世界の信頼関係の構築に貢献したい」と述べた。(明知隼二)

(2019年8月6日朝刊掲載)

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