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バイオリンに被爆樹木 広島大製作 きょう学生が演奏披露

 広島大は、被爆体験の継承活動に役立てるため、被爆樹木を部材に使ったバイオリンを製作した。6日、広島市中区の同大東千田キャンパスで開く平和イベントで学生が演奏を披露する。あの日を知る樹木が響かせる音色で平和への願いを広める。

 被爆樹木は爆心地から約370メートル離れた、中区基町の本川沿いに立っている国管理のシダレヤナギ。2017年12月、傷みがひどい幹の一部分を切除した。

 被爆者の遺骨発掘事業などに取り組む同大研究員の嘉陽礼文さん(41)がそれを知り、バイオリン作りを発案。同大が切り落とした幹を国から譲り受け、三原市でバイオリン工房を構える三原博志さんに製作を依頼した。

 被爆樹木は顎当てや調弦の際に回すペグなどに仕立てられた。側板にはエゴノキを使用。多くの被爆者が埋葬された似島(南区)で昨年実施した遺骨発掘調査の際に伐採した幹を生かした。製作費は約90万円。

 バイオリンは今後、学生たちによる原爆養護ホームへの訪問活動などに役立てる。嘉陽さんは「音色が被爆者の心の癒やしになり、平和な社会へ向け、若い世代が動くきっかけになってほしい」と願う。

 6日のイベントで演奏するのは同大霞管弦楽団に所属する歯学部2年脇中日向子(ひなこ)さん(19)。「大学で平和科目を受講している。培った思いを楽器で発信したい」と意気込む。

 お披露目は同日午前10時45分から、同キャンパスの東千田未来創生センターで。当日はミニコンサートや日本人学生と留学生が平和について語らう催しもある。入場無料、事前申し込み不要。(奥田美奈子)

(2019年8月6日朝刊掲載)

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