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「大和」の記憶継いで 元乗組員の証言聞き取り 甲山中で学芸員語る

 戦艦大和の元乗組員、貞森幹男さん(92)=世羅町本郷=の戦争体験を聞く平和学習が5日、同町西上原の甲山中であった。貞森さんが生徒へ語る予定だったが体調不良で断念。証言を聞き取った町教委の林光輝学芸員(48)が代理で、全校生徒約120人に伝えた。

 東大田村(現世羅町)出身の貞森さんは、1943年に呉海兵団へ入った。44年7月に大和に配属。同10月のフィリピンのレイテ沖海戦では、米軍の砲撃で戦友たちが犠牲になり、貞森さんも顔や背中を負傷した。

 林学芸員は「遺体の肉片を拾ってドラム缶に詰め、船上から水葬で流した。無感情で、心がまひしていたと思う」などの生々しい証言を語った。

 貞森さんは長年、戦争体験を積極的には語らなかったが、数年前に妻を亡くしたことなどをきっかけに「次世代に伝えたい」と考えるようになったという。感銘を受けた林学芸員は2017年から7回以上、貞森さんの話を聞き取った。

 林学芸員は「思いの全ては伝えられないかもしれないが、平和に関心を高め、自分なりの考えを持ってほしい」と話す。3年今井仁さん(15)は「戦争の恐ろしさを自分たちも伝えていく必要がある」と話していた。(神下慶吾)

(2019年8月6日朝刊掲載)

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