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「核軍縮の環境悪化」 ユニタールが公開討論会

 核軍縮の在り方を専門家が議論する公開討論会「人類を守るための軍縮」が6日、広島市中区であった。国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所(中区)、国連軍縮研究所(スイス・ジュネーブ)、国連軍縮部(米ニューヨーク)の共催で、市民や学生たち約100人が聞いた。

 国連の中満泉・軍縮担当上級代表(事務次長)たちパネリスト4人が登壇した。米ロの対立やサイバー攻撃など新技術の発展を背景に核軍縮を巡る環境は悪化しているとの認識で一致。軍縮研究所のレナタ・ドワン所長は「まずは全ての国が現状の深刻さを共有すべきだ」と指摘した。

 非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲(あきら)国際運営委員は、日本の金融機関などが核兵器製造に関わる企業への融資を止めた事例を紹介。「核兵器を違法化する核兵器禁止条約の効果は表れつつある」と、前向きな展望にも触れた。

 質疑では、若者の役割を問う高校生の質問に中満氏が回答。奴隷制の廃止や女性参政権の実現を例に「不可能とされたことも多くの人の努力で実現してきた。核兵器廃絶も同じだ」と激励した。(明知隼二)

(2019年8月7日朝刊掲載)

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