大平数子さんの未発表童話7編 「おおきなまちのちいさいはなし」 長男泰さん出版
19年8月7日
原爆詩「慟哭(どうこく)」で知られる大平数子さん(1923~86年)の童話集「おおきなまちのちいさいはなし」を、長男泰さん(76)=広島市西区=が自費出版した。昨年見つかった未発表の童話7編からなる「ききがき ひろしま」を収録している。
大平さんは己斐町(現西区)の実家で被爆し、原爆で夫と胎内被爆した次男を失った。自身は結核で長期入院し、幼い泰さんと別れて暮らすことを余儀なくされた。療養時代から詩を書き始め、海外でも知られる代表作「慟哭」は今回再録されている。
「ききがき―」は、大平さんが見聞きした話を基に物語を紡いでいる。「いちょう の小枝」には自身の体験もにじませている。家族を亡くし、遺体を小学校に運んできた女性が、父を亡くした少年と出会い、ともに遺体を焼く。少年が校庭の隅に手向けたイチョウの小枝は、やがて根を張り大木となる。
泰さんは「あの頃はつらい体験のある人がいっぱいいた。何かを声高に叫ぶ代わりに彼らの『ちいさいはなし』に寄り添ったのでは」と母の思いをくみ取る。本は県内の公共図書館などに寄贈する。希望者には千円で販売する。泰さん☎082(272)6431。(森岡恭子)
(2019年8月7日朝刊掲載)
大平さんは己斐町(現西区)の実家で被爆し、原爆で夫と胎内被爆した次男を失った。自身は結核で長期入院し、幼い泰さんと別れて暮らすことを余儀なくされた。療養時代から詩を書き始め、海外でも知られる代表作「慟哭」は今回再録されている。
「ききがき―」は、大平さんが見聞きした話を基に物語を紡いでいる。「いちょう の小枝」には自身の体験もにじませている。家族を亡くし、遺体を小学校に運んできた女性が、父を亡くした少年と出会い、ともに遺体を焼く。少年が校庭の隅に手向けたイチョウの小枝は、やがて根を張り大木となる。
泰さんは「あの頃はつらい体験のある人がいっぱいいた。何かを声高に叫ぶ代わりに彼らの『ちいさいはなし』に寄り添ったのでは」と母の思いをくみ取る。本は県内の公共図書館などに寄贈する。希望者には千円で販売する。泰さん☎082(272)6431。(森岡恭子)
(2019年8月7日朝刊掲載)