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豪雨乗り越え 悼む 碑移設の小屋浦など

 原爆投下後に多くの被爆者が救護された坂町では6日、慰霊式典や慰霊祭があった。住民や遺族は、昨年の西日本豪雨災害を乗り越えてあらためて核兵器の廃絶を目指し、平和の大切さを確認し続けることを誓った。

 小屋浦地区では、小屋浦公園に移設した原爆慰霊碑前では初めての慰霊式典があった。「原爆慰霊碑を守る会」が開き、遺族や住民たち約80人が出席した。同地区で叔父の西久保喜三郎さんが亡くなった中川重年さん(72)=神奈川県厚木市=は「豪雨災害後に大変な努力で碑を移設し、式典を開いてくださった」と遺族を代表して感謝を伝えた。

 約1キロ北西にあった以前の場所は線路を横切る必要があったため、西日本豪雨で土砂災害の被害を受けたことも踏まえて移した。西谷敏樹代表(73)は「子どもからお年寄りまで安全に来てもらえ、核兵器の恐ろしさを後世に伝えられる」と意義を説明した。

 北新地運動公園の原爆犠牲者追悼碑前では、同町の被爆2世有志たちが、2年ぶりの慰霊祭を開いた。主催していた坂町原爆被害者の会の解散や西日本豪雨の影響で昨年は中止。同会を継承する団体の発足を準備する池田節男さん(70)は「体制を整えて、核兵器によって起きたことを次世代に伝えたい」と述べた。(山田太一)

(2019年8月7日朝刊掲載)

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