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ピースマイルフェスタ フクシマから歌の輪 復興へ ヒロシマで共鳴

 私たち若い世代が未来をつくる―。30日に広島市中区で開かれた「中高生ピースマイルフェスタ」。被爆地広島と国内では史上最悪の原発事故が起きた福島県の若者たちが歌を通して心を一つにし、復興と平和の実現を誓った。

 福島県の葵高合唱部と鈴峯女子中・高吹奏楽部(西区)、安田女子中合唱部・高音楽部(中区)が出演した音楽ステージ。最後に、観客を含む約400人が被爆ピアノの伴奏で声を合わせて、ヒット曲「世界に一つだけの花」を歌った。フクシマとヒロシマをつなぐ会場の思いが一つになり、花を咲かせた。

 「復興に向け、『共に頑張ろう』と励まされた気になった。共感してくれる仲間ができてうれしい」と葵高2年物江静香さん(17)。安田女子高音楽部部長で1年の寄谷香奈子さん(16)は「核の被害を受けた場所同士、思いを共有できた」とほほ笑む。

 葵高のある会津若松市は、事故の起きた福島第1原発から西へ約100キロ。避難してきて同校に通う生徒は、約30人いる。原発近くに住んでいた友人が事故で古里を離れたという1年五十嵐彩楓(さやか)さん(16)は「福島の人たちの不安が消えるよう、頑張っている姿を見せたい」と語った。

 ひろしま福島県人会の約20人も駆け付け、葵高の合唱部員に激励と感謝を込めて花束を手渡した。生徒の手を握って涙ぐむ人もいた。

 フェスタの最後には、葵高合唱部が地元の民芸品の起き上がり小法師(こぼし)を広島の若者に贈った。転んでも立ち直る「七転び八起き」が由来と説明し、「私たちも諦めずに前に進みたい」と決意を新たにしていた。(増田咲子)

(2013年3月31日朝刊掲載)

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