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「終戦の日」記事で即興劇 中区で15日 福岡の演出家企画 「平和を考える場に」

 「終戦の日」の新聞記事を題材に、即興で劇を作る参加型演劇「8月15日を劇にする」が15日、広島市中区の市青少年センターである。演出家の五味伸之さん(34)=福岡市=が企画し、広島県内では初めての開催となる。「平和とは何か。気軽に意見を交わす機会になれば」と参加者を募っている。(山下美波)

 7月16日、東区で開かれたリハーサル。五味さんと広島市の劇団員たちは前日の新聞を使い、劇を作っていく。各自が気になった記事を出し合い、それらを模造紙に貼って、まずは壁新聞を作るのだ。

 選んだテーマは戦争や原爆に限らない。性的少数者(LGBT)の人たちの権利、精神科病院での身体拘束問題…。五味さんたちはこれらから約10分間の劇に仕上げた。参加した劇作家山田めいさん(28)=東区=は「普段、新聞記事について意見を交わすことも複数人で劇を作ることもないので楽しかった」と笑顔を見せた。

 本番では約20人の参加者を募り、4班に分かれて壁新聞と即興劇を作る。各班に俳優や作曲家が付き、劇作りをサポートする。

 「新聞にはいろんなことが取り上げられている。これまでは見過ごしていたテーマに気付かされる」と五味さん。いろいろな人が、それぞれの感じ方で捉えた違和感を伝え合う。自由に意見を交わし、劇として表現する。「そんな営みこそ、平和について考えることにつながる」と語る。

 この企画は2015年、五味さんが福岡市で始めた。今年初めて、広島での開催にこぎ着けた。群馬県出身だが、父親の転勤で幼少期を広島市佐伯区で過ごした。自身が8月6日生まれであることも含め、広島を意識し原爆や戦争について考える機会が多かったという。「戦後100年の45年まで続ける」ことを目標に掲げる。

 広島市の劇団員たちでつくる実行委員会などの主催。参加費500円。午後1時から劇の準備を始め、5時から発表がある。入場無料。参加申し込みは五味さん☎080(3965)4225。

(2019年8月12日朝刊掲載)

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