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三次で語る奄美の戦争 戦没者追悼式・祈念行事で布野の大山さん 歌で平和訴え

 三次市の戦没者追悼式と平和祈念行事が20日、同市三次町の市民ホールきりりであった。平和祈念行事に招かれた同市布野町のシンガー大山百合香さん(35)は、故郷の奄美群島の戦災や沖縄戦で亡くなった身内の逸話を紹介し、平和の大切さを訴えた。(石川昌義)

 結婚を機に2014年から布野町で暮らす大山さんは沖永良部島(鹿児島県和泊町)出身。沖縄に近い故郷は太平洋戦争で米軍の空襲を受けた。この日は、約300人の参列者に「実家の仏壇の前で祖母から戦争について聞きました。祖父の兄2人は沖縄戦で戦死しています」と語り掛けた。

 続いて、沖縄出身の歌手古謝美佐子さんの「童神(わらびがみ)」やザ・ブームの「島唄」など6曲を三線(さんしん)の演奏とともに披露した。「島の人は民謡が大好き。どんなに苦しい時も、戦(いくさ)の時も、暮らしの近くに歌がありました」。戦争末期の激戦と戦後の米軍統治を経験した奄美群島や沖縄に思いをはせ、南国の旋律を会場に響かせた。

 ことしの原爆の日に広島市内のイベントで演奏したことも紹介。「8月6日の広島で祖父母の笑顔を思い出した。何げない笑顔と平和な日々を大切にしたい」と力を込めた。

 追悼式と平和祈念行事は市が主催。追悼式では福岡誠志市長が式辞を述べ、参列者全員が菊の花をささげた。父親が硫黄島で戦死したという小山恵津子さん(76)=十日市西=は「戦争のことを忘れず語り継ぐ若い人がいることはありがたい」と話していた。

(2019年8月21日朝刊掲載)

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