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原爆症訴訟 高知でも心疾患認定 国16連敗 損賠請求は棄却

 原爆投下直後に広島市内に入り被爆したのに原爆症と認定されなかったのは不当として、2004年に死亡した高知県の男性の遺族が認定申請却下処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、高知地裁(小池明善裁判長)は27日、虚血性心疾患を原爆症と認め、却下処分を取り消した。300万円の損害賠償請求は棄却した。

 全国17地裁で起こされた一連の訴訟で、国は16連敗。救済拡大の流れに沿った判断となった。  小池裁判長は判決理由で、「審査基準を機械的に適用することは放射線による被曝(ひばく)の実態を正当に評価するものとは言えない」と指摘した。

 虚血性心疾患は昨年4月に導入された国の新基準でも積極認定の対象外だが、2008年5月の大阪高裁判決は虚血性心疾患と高血圧を原爆症と認め、確定している。

 訴えていたのは高知県芸西村の上杉卓助さん=当時(81)=の遺族。高血圧について「的確な証拠はない」として原爆症と認めず、賠償請求は「国が漫然と却下したとまでは認められない」と退けた。

 判決によると、上杉さんは原爆投下の約1時間後、広島市内に入り、爆心地から約2キロ圏内で救護活動に従事。2002年、虚血性心疾患と高血圧で申請したが2003年、却下された。

(共同通信配信、2009年3月28日朝刊掲載)

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