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ひろしまラウンドテーブル採択 全ての国・市民社会へ呼び掛け

 7度目の開催で初めて緊急アピールをまとめた今年の「ひろしまラウンドテーブル」。アピールの取りまとめに尽力した藤原帰一議長(東京大大学院教授、国際政治学)は、終了後の記者会見で「核の管理の後退を許してはならない。これは世界の市民社会への呼び掛けでもある」と訴えた。

 藤原議長によると、アピール採択へ向けた準備を始めたのは、2日の中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効が大きく影響したという。「中距離核戦力が解禁された状態になった。武器の開発、実験について抑制がなくなったことを意味する」。日本側のメンバーで原案の作成を進め、海外の参加者に協力を求めた。

 会議の開幕が迫った18日には、トランプ米政権が条約で制限されていた射程500キロ以上の地上発射型巡航ミサイルの発射実験をした。「核兵器に関する国際的な取り組みや制度が崩壊の危機にある。核兵器の廃絶どころか、依存が強い世界をつくりかねない」(藤原議長)との懸念が、合意につながった。

 アピールでは、さまざまな核軍縮の条約の当事国だけではなく、「全ての国」に行動を求める点を意識したという。藤原議長は「条約から離脱した国に強く自制を求めるのが第一だが、米ロ以外にも自制すべき国はある」と説明した。

 今後は、アピールで実際にどのような効果を生み出すかが課題となる。元オーストラリア外相のギャレス・エバンス氏は「核軍縮からの後戻りを止めなければならない。『ヒロシマ』から発信するのが重要だ」と力を込めた。(久保友美恵)

(2019年8月23日朝刊掲載)

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