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「ユース非核特使」新設  岸田外相発案 国際会議で発信

 若い世代に核兵器の悲惨さを訴えてもらおうと、外務省が「ユース非核特使」制度を新設することが4日、分かった。被爆者に委嘱している「非核特使」の若者版。被爆国の代表として国際会議などで発信してもらうほか、高齢化が進む被爆者からバトンを受け、証言活動を継承する。

 被爆地広島が地元の岸田文雄外相(広島1区)が発案した。9日にオランダ・ハーグで開かれる非核保有国10カ国による「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合で表明し、参加国にアピールする。

 対象は広島、長崎両県を中心に、平和活動などに取り組む高校生以上を想定。国内外で開催される国際会議や交流活動の機会に核兵器の非人道性などを訴えてもらう。今夏の委嘱開始を目指し、人選や制度の具体的な中身を詰める。

 被爆体験の継承をめぐっては、広島市が2012年度から公募による「伝承者」養成事業をスタート。ユース非核特使には継承という被爆地の課題を国として受け止め、人材育成を促す狙いもある。

 非核特使の制度は10年、広島市の平和記念式典に出席した菅直人首相(当時)が表明。広島の被爆者で元原爆資料館長の高橋昭博さん(故人)が第1号。これまで延べ93人に委嘱している。(藤村潤平)

(2013年4月5日朝刊掲載)

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