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チェルノ事故 風下以外も疾患多発 ベラルーシ診療所長が公表

■記者 森田裕美

 1986年のチェルノブイリ原発事故で被災したベラルーシでこれまで放射線被害が小さいとみられていたブレスト州で、住民にがんなどの甲状腺疾患が多発していることが26日、分かった。

 広島大原爆医科学放射線研究所(広島市南区、原医研)が市内で開いたシンポジウムで、同州立内分泌診療所のアルツーラ・グレゴリビッチ所長が初めて症例数を公表した。州全体で事故前年の1985年に61件だった甲状腺がんは、1990年代に急増し、昨年は37倍の2286件に上ったという。

 現地では、原医研や広島市内の開業医たちの協力を得て昨年までの10年間、移動健診車で16万4175人を健診している。重度のがんは、25歳までの若年層が最も多くみられた。

 同州は、事故の際に風下の地域ではなく、汚染の程度が低いとされてきた。グレゴリビッチ所長は「高レベルの放射性物質がとどまり、放射線感受性の高い若年層を中心に、4年以上の潜伏期間を経て発症した」との可能性を指摘した。

(2009年3月27日朝刊掲載)

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