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被爆者対策費1254億円 1億円増 75年事業の補助計上

 厚生労働省は27日発表した2020年度予算の概算要求に、被爆者対策費として19年度当初比1億円増の1254億円を盛り込んだ。広島、長崎市など全国で来年行われる被爆75年事業への補助として5千万円を新規計上。対策費全体の大きなウエートを占める健康管理手当は被爆者の死去で減少した一方、原爆症に認定された被爆者への医療特別手当などは増えた。

 被爆75年事業への補助は広島、長崎両市からかねて要望があり、シンポジウムや展示会などに充てられる。被爆建物や被爆樹木の保存事業への補助も継続し、20年度は5千万円を計上。広島市は平和記念公園(中区)の地中に残る旧中島地区の遺構の展示公開を計画しており、厚労省はこれも対象にする方針だ。

 両被爆地が養成し、市外への派遣費などを国が負担する「被爆体験伝承者」について、20年度から被爆者本人も派遣対象に加える。

 被爆者への諸手当を巡っては高齢化の影響が色濃く出ている。一定の病気にかかれば支給する健康管理手当は19年度当初比で12億円減の505億円となったが、他の手当などが病気の増加で膨らみ、トータルは1億円減の831億円とした。広島市が求める放射線影響研究所(南区)の市中心部への移転に向けた費用は盛り込まれなかった。(河野揚)

(2019年8月28日朝刊掲載)

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