×

ニュース

南方留学生のヒロシマ 犠牲の2人描く絵本出版相次ぐ

 19歳で原爆の犠牲になったマレーシア出身の南方特別留学生2人、それぞれの生涯を伝える絵本が相次ぎ出版された。墓がある広島と京都の市民が手掛けた。

 「ユソフさん」は、大やけどを負って被爆死したニック・ユソフ氏について、原爆資料館ピースボランティアの青木圭子さん(66)=広島市安佐北区=が書いた。南方特別留学生を知る栗原明子さん(93)から聞き取りながら、興南寮(現中区)で被爆し、佐伯区の光禅寺に遺骨が納められた話を12ページにまとめた。

 絵本「オマール王子の旅」は京都市の円光寺に眠るサイド・オマール氏について、同市の歯科医師古田博一さん(59)が著した。古田さんの父方の祖父は広島で被爆。母方の祖父の墓が同寺にある縁で、幼い頃から南方特別留学生に関心があったことがきっかけになった。2015年には映画と単行本を発表している。今に続く核の脅威に対する警鐘の意味も込めた。

 「ユソフさん」は「南方特別留学生を語り伝える会」の自費出版で、日英併記版もある。支援金500円で入手できる。電子メールaokikeiko50@gmail.com

 「オマール王子の旅」はあいり出版刊1620円。(山本祐司)

(2019年9月2日朝刊掲載)

年別アーカイブ